胸を打たれたドキュメンタリーから感じた、生のエネルギー

最近、たまたま見た経済ドキュメンタリーに胸を打たれました。腕のいい優秀デザイナーだった男性の主人公が徐々にお仕事がうまくいかなくなり、最終的にはホームレス生活まで強いられ、そこを這い上ってきたという実話でした。

世界的な規模での激動の時代下にあり、明日は我が身の人生であるのは私自身も同じなので、作りもののテレビドラマや映画よりもずっとリアリティがあり、心を動かされる場面が多々ありました。

ドキュメンタリーの中心的人物だったその方が、いつ終わるとも分からない絶望が次々と襲う試練の只中にあっても、自分でできる精一杯や最善のことを常にやり遂げることをやめなかったその粘り強さや在り方がすごいなと思い、自分も見習って黙ってやるべきことをやろうと再度思わせるだけのエネルギーを感じました。

失業したり、仕事の確保が報われなかったり、その結果住居を失ったりと、不幸な出来事がこれでもかこれでもかと連続で重なり続けると、人は誰しも身動きが取れなくなり、そこからそう簡単には抜け出せない状況も徐々にしぶとくなっていくものです。

コンビニで廃棄弁当をもらって生命をどうにか繋ぎ、自分の本来のデザイナーとしての特技を最後まで握って可能性を常に探り続けた主人公の彼の持つエネルギーに心を打たれました。それは、すべてに腐ってあきらめてしまうことだってできたのにもかかわらず彼はそうしなかったという、執念とも云えるであろう生きるをあきらめないエネルギーだったと感じるからです。

今や時代は、すべての人がその人なりに一生懸命がんばったから報われるような甘い状況ではなくなっています。誰もが求める、「安定した仕事」などという仕事そのものが成り立たない厳しい時代情勢に、ほぼすべての人が影響を受けているような状況とも言っても過言でないかもしれません。
だからこそ、生き延びていくための知恵や、このドキュメンタリーの主人公がそうだったように、余計なプライドをかなぐり捨てること自体がひとつの財産や道を創ることに繋がるのだということの再認識を促されるような映像でした。
罵倒されようが低賃金労働を与えられようが逃げずに黙って特技を磨き続け、ついにはWebシステムを創り上げてホームレスから社長へ這い上った主人公のガッツも然ることながら、彼と距離を取りながらも見捨てなかった奥さんの方もまたツワモノだったと感じます。

この絆があったからこその再生と立ち直りだったことを思うと、やっぱり最後には人と人なのだなと認識させられました。身近な関わりを見つめ直す視点から、じゃあ私自身は、主人公の彼と同じように一番身近な自分の夫が失業したり、ライフラインを揺るがす危機的で辛辣な試練の只中にあったらどうしてあげるか?ということを考えさせられます。

パートナーといえども、お互いに弱さも傷もある不完全な人間同士です。されどそこの部分を責め合ったり社会の中で競争するだけでは生きてはいかれないのが人であるかぎり、「自分では相手あるいは社会のために何の努力も試みもしません、全部おんぶにだっこで何とかして」ではない、お互いの限界点を踏まえた上でいいギブアンドテイクの供給が大切なのだなという意識をも更新させられるようなドキュメンタリーでした。
ドキュメンタリーの主人公とご家族の方々、そして製作に携わった方々がこれからも支えられますように。